前回の#004では「絶対参照」を扱いました。今回はその続きです。……と言いたいところですが、今日もAIが序盤から余計なことを言い出しまして。まずはそこからお付き合いください。
「30秒」を甘く見たAI
Rakutenの注文データには、商品コードだけがズラッと並んでいて、価格も商品名もありません。これを商品マスタを見ながら手入力で埋める作業を、AIに見せました。
AI:
「1件30秒ですよね?100件でも……50分ですか。休憩挟んでも1時間あれば余裕ですね!」
ディレクター:
「……いや、無理です。」
AI:
「え、計算合ってますよね?」
ディレクター:
「計算は合ってます。でも人間、50分もマウスでコピペし続けたら、絶対どこかで1行ズレるんです。ズレに気づかず突き合わせ終わって、後で『あれ、この価格違う』って青ざめる。込みで1時間半です。」
AI:
「……前回の『3日で完成』の時と、同じ空気を感じます。」
ディレクター:
「学習してきましたね、それは褒めます。」
月1万円、繁忙期は3万円が消える計算
この「見えないズレ探し込みの1時間半」、月に何度も発生します。キャンペーン期間中なら尚更です。
AI:
「それ、外注したらいくらなんですか?」
ディレクター:
「データ入力代行、時給2,000円前後が相場です。通常月で月1万円、繁忙期は3万円くらい平気で飛びます。」
AI:
「じゃあ、それを浮かせる方法があるってことですよね?もったいぶらずに教えてください!」
ディレクター:
「せっかちですね……まあいいでしょう。VLOOKUP関数です。」
数式はたった1行
商品マスタシートの「商品コード・商品名・価格」から、注文一覧のB2セルに1つ数式を入れるだけです。
=VLOOKUP(A2, マスタ!$A:$C, 3, FALSE)
「A2の商品コードをマスタの$A:$C列から探して、3列目(価格)を持ってきて」という意味です。範囲を絶対参照($)にしておくのは、前回の#004そのままです。
AI:
「たった1行入力して、あとは下にコピーするだけですよね?5分もあれば余裕です!」
ディレクター:
「またその『余裕です』ですか。学習してなかったんですね。」
「#N/A」祭りで、20分溶かした話
実際にコピーしてみると、画面が「#N/A」だらけになりました。
AI:
「あ、これは……数式のミスですね。範囲がズレてます。」
ディレクター:
「ズレてません。何度も見直しました。」
AI:
「では、商品コードの表記ゆれでは?全角半角とか。」
ディレクター:
「見た目は完全に同じ『1001』です。」
――と、ここで10分ほど二人(一人と一体?)で表を睨み続けた末、AIがぽつりと言いました。
AI:
「セルの左上、小さい緑の三角、出てませんか?」
ディレクター:
「……出てます。最初からそれ言ってくださいよ。」
AI:
「気づくのに10分かかったのは、僕も同じです。おあいこですね。」
正体は、Rakutenの商品コードが「文字列」、手入力の表が「数値」という、見た目では絶対に分からないデータ形式のズレでした。=TEXT(A2,"0")で文字列に統一したら、#N/Aは嘘のように消えました。
それでも、覚える価値はある
AI:
「20分溶かしましたけど、これで来月からはずっと自動ですよね?」
ディレクター:
「そう。外注費は払うたびに消えますが、これは一度覚えたらずっと自分の中に残ります。」
AI:
「……今日、僕はほとんど役に立ってない気がします。」
ディレクター:
「緑の三角、最終的には気づいたじゃないですか。よくやりました。」
今日のまとめ(AIと一緒に)
AI:
- 1.VLOOKUPは「探して、持ってくる」を1行で終わらせる関数。
- 2.「#N/A」の正体は、だいたい見た目にダマされた形式違い。
- 3.一度覚えれば、外注費として消えていたお金がずっと浮き続ける。
次回#006は、この「#N/A」を綺麗に隠してくれる関数、IFERROR。AIがまた何分で終わると言い出すか、今から楽しみです。
ディレクターとAIの奮闘記 #005 おわり